制作の途中で服の汚れを気にしたくないので、普段は黒い服ばかりを着ています。
2006年に赤々舎から『書の棲処』という本を出版しました。
その本のための撮影の中で、あと数日で引っ越す、荷物のなくなった部屋の中に黒い布を張り巡らせて、
その前に白い服を纏ったわたしがいるという場面がありました。
当時「白い服」をわたしは一着も持っておらず、撮影は明日という時、急いで白い服を探しに行き、
真っ白ではなかったものの砂色の麻のワンピースを見つけたのでした。
本の中で白く映るそのワンピースは、本が出来上がった後には、
現実の中で白い服を着ている自分が居心地悪く、ほとんど袖を通さないままでした。
藍色になって戻って来た「白い服」は、思いがけず、
今まで何度も袖を通してきたなじみ深い藍色の着物の色にそっくりでした。
1枚仕立ての麻布が、こんなに張りと深みある色合いになるのだと、改めて藍染めの奥深さを感じました。
2010年1月 恵文社イベントでbefore→afterにご協力いただきました
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